【拒否する祖母を説得】介護サービスを申し込んだ話

介護サービスを長年拒否していた祖母を、やっとの思いで説得したお話です。

こんな方におすすめの記事です。

  • 家族の介護サービスを検討している方
  • 介護サービスを拒否している家族がいる方
  • 介護サービスを受けるための手続きが気になる方

少しでも共感するところや、参考になるところがあれば嬉しいです。

介護サービスを利用したいと思ったきっかけ

私は80代の祖母と同居しています。家族構成は、祖母・父・母・私・夫・子供2人の7人家族です。

介護サービスを利用したいと思ったきっかけは、私の家事疲れです。

祖母は、食事・トイレ・入浴は自分でおこなうことができます。家族は食事の用意や掃除、日用品の買い物をするなどのサポートをしています。

家族が役割を分担してサポートしていますが、母は仕事で家を空けることが多いので、食事の用意は私がしています。休みなく毎日3食を用意しなければならず、これが結構大変です。外出していても食事を出すために予定を切り上げて帰宅することもあります。

私は現在、0歳と2歳の子供を育てています。授乳や夜泣きで睡眠がとれていない時、「祖母の朝ごはんを用意しなきゃいけないけど、起きたくない」と布団の中で葛藤しています。休日に出かけても、お昼時に自宅に帰らなければならず「なんで、私がしなければいけないのだろう?」と時々嫌になります。

そんなわけで、子育て中で余裕のない私は、少しでも負担を減らすため介護サービスを利用したいと思いました。もちろん、祖母の健康維持という目的もあります。

祖母は苦手な存在

祖母は少々クセがあります。話すことはネガティブなことばかり、言葉も乱暴です。外では穏やかな話し方をしますが、家族には言いたい放題。デリカシーと可愛げがゼロのおばあちゃんです。

私の実の祖母であり、子供の頃は可愛がってもらいました。加齢とともに、自分の感情をコントロールできなくなっているようです。

私は、祖母のことが苦手です。必要最低限の会話をするだけで、あまり関わらないようにしています。3食のご飯を出すことが私にできる精一杯のことだと思って今までやってきました。

高齢の家族との関係で、大変な思いをしている方はたくさんいらっしゃると思います。ネットで調べると、私の祖母よりも強烈な祖父母を持つ方がたくさんいるので、私はまだまだマシな方かもしれません。

介護サービスを拒否された

以前から健康のために介護サービスの利用をすすめていたのですが、「行きたくない」と断固拒否。今回は「家事負担を減らしたいからお願いだから行って欲しい」と伝えましたが、拒否されました。ある程度予想はついていましたが…。

祖母は病院以外の外出を嫌がっています。ルーティン以外のことをするのが苦手なようで、新しい環境が不安なのだと思います。

調べてみると、介護サービスを拒否する高齢者はめずらしくないようです。こんな理由で拒否する方がいるようです。

  • 慣れない環境が不安
  • 外出が面倒
  • 人間関係が不安
  • 自分は元気で行く必要がないと思っている

祖母には、どれも当てはまるように感じます。

祖母には拒否されましたが、私も諦められないので、申し込んでみることにしました。

自治体に電話相談

役所に電話して、介護サービスを利用したいことを伝えると、「地域包括支援センター」の職員さんが対応してくださいました。

すぐにでも利用したいことを伝えると、その日のうちに自宅で面談することになりました。ケアマネージャーさんと祖母と私の三者面談です。対応がとても早くて驚きました。

地域包括支援センターとは?

医療・介護などに関する自治体の相談窓口です。介護サービスや日常生活支援などの相談ができて、高齢者が住み慣れた地域で生活できるようにサポートしています。

ケアマネージャーとは?

ケアプラン(介護サービスの利用計画書)を作り、介護サービスを利用できるよう調整する専門職です。介護施設や地域包括支援センターなどに勤めています。

面談の内容は?

祖母に面談をお願いしたところ、すんなり了承。おしゃべり好きなので、人が訪ねてくれるのは嬉しいみたいです。「施設に通って、思う存分おしゃべりしてこればいいのに…」と心の中で毒づきます。祖母と関わると、黒い感情がたびたび湧き上がってくるのです。

ケアマネジャーさんには事前に祖母が拒否していることを伝え、説得していただきたいとお願いしました。

面談が始まり、初めは世間話をしながらケアマネージャーさんが祖母の話を熱心に聞いています。上手に話を聞いてくれるので、祖母も饒舌になって、とても楽しそうです。打ち解けたところで、本題の介護サービスのお話です。

まずは、祖母の生活状況の聞き取りです。「基本チェックリスト」というアンケートに答えていきます。運動機能や栄養状態には問題がありませんでしたが、外出を嫌がるので「閉じこもり傾向」がみられるとのことです。

祖母は「要支援1」の認定を受けられそうとのことでしたが、要支援・要介護などの要介護認定がなくても「基本チェックリスト」の事業対象者となったため、「介護予防サービス」を受けられることになりました。

いくつかのサービスを紹介してくださり、その中に祖母が気にいるものがありました。それは施設へ通い、食事・入浴などの日常生活支援や、運動機能の低下を防ぐリハビリなどを受けことができるものでした。利用料は食事代のみで、施設への送迎もあるので家族としても助かります。

祖母が「行くならコレかな」と自ら選んでいました。あれだけ拒否していたのに割と簡単に行く気になっていて、私は「ケアマネージャーさんすごい!ありがとう!」と心の中で感謝していました。

ちなみに面談中、私は口を挟まないようにしていました。祖母が警戒すると思い、見守ることに徹していたのが結果としてよかった気がします。

基本チェックリスト

生活状況・身体機能・栄養状態・外出頻度などに関する25項目の質問です。生活の機能の低下がみられる方、要介護状態になるおそれがある方を早期に把握する目的でおこなわれます。要支援の認定を受けていなくても、基本チェックリストの結果をもとに、利用できる介護予防サービスがあります

要支援・要介護とは?

高齢者の介護状態のランクです。介護サービスの利用内容や頻度を決める目安になります。要支援1・2要介護1〜5の7つのランクがあり、「要支援」は日常生活で多少の支援が必要な状態、「要介護」は自力で日常生活を送ることができず介護が必要な状態です。要支援・要介護の認定には、主治医の意見書などが必要で1ヶ月ほどかかります。

ケアマネージャーさんによる説得

面談前は警戒していた祖母でしたが、ケアマネージャーさんの話術で、最終的にはお試しで行ってみることになりました。

祖母は介護サービスに先入観を持っていたようで、「祖母も介護保険料を支払っていて、介護サービスを受ける権利がある」「介護サービスは体が動かなくなってから受けるのではなく、動かなくならないように行くもの」というお話を聞いて、行ってもいいかなと思えたようでした。

さらに、施設に祖母の知り合いがいるかを確認してくださり、知り合いが何人か通っていることがわかりました。皆が通っていることで安心したのか、祖母の中で利用のハードルが低くなったようです。

あんなに拒否していた祖母の気を変えるなんて、さすがプロだなと思いました。祖母の考え方を理解して、プライドを傷つけないように丁寧にわかりやすくご対応くださいました。本当に感謝です。

申込や面談の感想

「介護予防サービス」の申し込みは簡単なものでした。今後、他の介護サービスを利用するときは再度面談が必要になるそうです。

1時間ほどの面談でしたが、普段あまり話さないせいか、「祖母はこんなことを考えているんだな」と感じることがありました。私の子供のことを嬉しそうに話していて、祖母の存在が少し身近になりました。

今後通ってくれるかわかりませんが、少しだけ肩の荷がおりた気がします。最初にお迎えに来てもらったとき、すんなり行ってくれるかが心配ですが…。

家族の力ではどうしようもない時、専門家にお願いするのが良いと思いました。祖母はプライドがあって家族の言うことは聞かないですが、専門家の言うことはよく聞きます。

介護サービスは高齢者本人だけじゃなく、家族のためのものでもあります。介護サービスを利用することで、ご本人とご家族がいい時間を過ごせると良いなと思います。この記事が、参考になれば嬉しい限りです。

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